ヌートリア
ヌートリア(学名:Myocastor coypus)は、南アメリカ原産の大型の齧歯類(げっしるい)で、見た目は大きなネズミやビーバーに似ています。元々は毛皮を採取するために世界各地に移入されましたが、繁殖力が強く、現在では外来種として生態系に影響を与えています。
ヌートリアとは
外見と体の特徴
- 体長:40~60cmほど、尾の長さは30~45cm。
- 体重:5~10kg程度。個体によっては15kgに達することもあります。
- 毛色:全体的に茶色や黒色の毛。毛皮が柔らかく、かつては高級素材として重宝されました。
- 特徴的な歯:上下の前歯がオレンジ色に発達しています。
- 足:後ろ足に水かきがあり、水中での移動に適しています。
生態と行動
- 生息地:河川、湖、沼地など水辺に住み、水中で活動することが多いです。
- 雑食性:主に水草や草本植物を食べますが、農作物(特に米や野菜)も食べるため農業被害が問題になります。
- 巣作り:川岸に穴を掘って巣を作り、水辺で子育てを行います。
- 繁殖力:1年に2~3回出産し、1度に5~8匹の子どもを産みます。生後4~5ヶ月で繁殖可能になり、急速に個体数が増える傾向があります。
害獣としてのヌートリア
在来植物を食い荒らし、生態系のバランスを崩す可能性が指摘され、巣穴によって河川や堤防が弱くなるなどの問題も発生しています。また、田んぼの作物を荒らすため、農家にとっては深刻な害獣となっています。
ヌートリアは特定外来生物に指定されており、無許可で捕獲するとことはできません。狩猟鳥獣でもあるため、捕獲するには鳥獣保護法による許可が必要です。
ヌートリアは一見かわいらしい外見ですが、繁殖力が強く、生態系や農業に悪影響を与える存在です。そのため、日本各地で駆除が進められていますが、駆除の難しさも課題となっています。
ヌートリアを捕まえるには
ヌートリアは鳥獣保護法で保護されている特定外来生物のため、許可なく捕獲すると逮捕される可能性があります。ヌートリアを捕まえるには、専門の知識や設備が必要で、許可がないと法律に違反する場合があるため、個人での捕獲は避け、自治体や専門の駆除業者に依頼するのが基本です。
もしヌートリアが周辺に出没しており、害がある場合は、次のように対策するのが一般的です。
- 自治体や専門機関に通報する
多くの自治体はヌートリアの出没情報に基づき、専用の駆除計画を実施しています。自治体の環境担当部署や保健所に連絡を取り、指示を仰ぎましょう。 - 駆除業者に依頼する
専門の駆除業者は、捕獲器や必要な設備、野生動物に配慮した適切な方法で捕獲を行えます。業者に依頼することで、安全かつ合法的に駆除が進められます。 - 物理的対策
農作物や庭の植物などに被害がある場合、頑丈な柵やネットで囲うなど物理的に防御することで、ヌートリアの侵入を抑えることも検討できます。
ヌートリアを安全に捕まえるためには、捕獲のプロに任せるのが最善であり、個人での捕獲には危険が伴うため、できるだけ避けるようにしましょう。
ヌートリアを見つけたら
ヌートリアを見つけた場合、地域や状況に応じた適切な対応が必要です。在来種や農作物に悪影響を及ぼす可能性があるため、各地で駆除の対象とされています。以下は、ヌートリアを見かけた場合の基本的な対応方法です。
- 安易に近づかない
ヌートリアは一般的に人を襲うことはありませんが、追い詰められると防衛本能で攻撃する場合があります。特に歯が鋭く、感染症を媒介するリスクもあるため、手を出したり、捕まえようとしたりするのは避けましょう。 - 自治体や保健所への通報
地域によっては、ヌートリアの発見や駆除の対応が整備されています。ヌートリアを発見した場合、自治体や保健所に連絡し、発見場所や目撃した状況などを報告することが推奨されます。 - 写真や記録を残す
発見時の状況を写真で記録しておくと、自治体が適切な対応を行いやすくなります。特に、農地や水辺など被害が発生する恐れのある場所であれば、詳細な情報提供が役立ちます。 - 自宅周辺での注意
ヌートリアは水辺に巣を作ることが多く、増えると水田や農地の作物被害、堤防などの土手に穴を開けることで水害リスクを引き起こすこともあります。自宅近くで見つけた場合は、家屋や庭の対策を検討し、食べ物や水にアクセスできないようにするなどの予防策が必要です。
ヌートリアの発見や駆除については地域によって対応が異なるため、周辺自治体の方針を確認するのが良いでしょう。
自治体の対応
自治体によっては積極的に駆除をしているところもありますので、まずは自治体に相談してみましょう。
京都市 – ヌートリアでお困りの場合
捕獲檻を置く場所の提供や捕獲用の餌の付替えなど、捕獲に御協力いただける場合は、本市が業務委託する事業者が御連絡のうえ、捕獲檻の設置に伺います。
なお、農家の方につきましては、ヌートリアによる農作物被害が甚大な場合は、地域を担当する農(林)業振興センターにご相談ください。
また、一部の地域では捕獲報奨金を出している自治体もあります。
山口県岩国市 – ヌートリア・アライグマ捕獲奨励金
ヌートリア1頭につき3,000円
岐阜県美濃加茂市 – 美濃加茂市有害鳥獣捕獲報償金交付要綱
ヌートリア 1頭につき5,000円
ヌートリアの飼育
ヌートリアは鳥獣保護法で保護されている特定外来生物のため、日本ではペットとして飼うことは、法律で禁止されています。無許可での飼育、販売、譲渡、輸入、運搬などが法律で厳しく規制されています。
ケガしたヌートリアを見かけた場合も、自治体に連絡するまでに留め、例え、かわいそうだと思っても保護せずに原則そのままにしてください。法的な問題以外に疫病の感染のリスクもあります。
飼うのであれば、同じ齧歯類でヌートリアによく似たカピバラがおすすめです。
カピバラは特定外来生物に指定されておらず、ペットとして飼うことができます。
ヌートリアQ&A
ヌートリアをペットとして飼うことは、日本では法律で禁止されています。
具体的には、ヌートリアは「特定外来生物」に指定されており、無許可での飼育、販売、譲渡、輸入、運搬などが法律で厳しく規制されています。
中国では食用として飼育されており、日本でもジビエとしてネット通販などで手に入ります。味も良いとされ、ジビエの中でも癖がなく食べやすいようです。