雪原を駆ける小さなハンター:イイズナの魅力に迫る

photo by Gertjan van Noord

イイズナ(学名:Mustela nivalis)は、イタチ科イタチ属に分類される小型の肉食哺乳類です。体長はオスで約20~30cm、メスで約15~20cmとイタチ科の中でも特に小さく、体重も100g前後と非常に軽量です。細長い胴体と短い四肢が特徴で、この体型は狭い穴や雪の下のトンネルを移動するのに適しています。

生息地はユーラシア大陸から北アメリカ大陸にかけての広範囲にわたり、日本でも北海道から本州、四国、九州にかけて広く分布しています。森林、草原、農耕地など様々な環境に適応しますが、特に積雪の多い寒冷地に多く生息しています。

イイズナとは? その生態と特徴

最大の生態的特徴は、その見事な換毛です。夏は背面が茶褐色、腹面が白色ですが、冬になると全身が真っ白な冬毛に生え変わります。これは雪景色の中でカモフラージュとなり、捕食者から身を隠し、獲物に忍び寄るのに役立ちます。ただし、温暖な地域に生息する個体や、北海道の一部地域では冬でも白色に換毛しないものもいます。

食性は完全に肉食で、主にハタネズミやアカネズミといった小型の齧歯類を捕食します。その他、鳥類や昆虫、爬虫類なども食べることがあります。非常に代謝が高く、常に獲物を求めて活動しており、その俊敏な動きで獲物を追い詰めます。

繁殖期は春から夏にかけてで、一度に4~9頭の子どもを産みます。子どもはメスが単独で育て、急速に成長して数ヶ月で独立します。

イイズナはペットにできる? 飼育の難しさ

結論から言うと、イイズナを一般家庭でペットとして飼育することは、極めて困難であり、推奨されません。

野生のイイズナは非常に臆病で警戒心が強く、人間に慣れることはほとんどありません。たとえ幼少期から飼育したとしても、その野生の本能は失われず、強いストレスを感じてしまいます。また、以下のような点も飼育を難しくする要因となります。

  • 高い運動能力と活動量: 小柄ながらも非常に俊敏で、狭い隙間でも潜り抜けることができます。飼育ケージではストレスが溜まりやすく、脱走のリスクも非常に高いです。
  • 特殊な食性: 新鮮な肉や内臓を必要とし、ドッグフードやキャットフードでは栄養が偏り、健康を損なう可能性があります。安定した供給と衛生管理が求められます。
  • 噛み癖や攻撃性: ストレスを感じたり、威嚇したりする際に噛みつくことがあり、その力は小さい体からは想像できないほど強いです。
  • 法規制: 種によっては捕獲や飼育が規制されている場合があります。日本では多くの野生動物が、むやみに捕獲したり飼育したりすることが禁じられています。

これらの理由から、イイズナはペットとして飼育するべき動物ではなく、その可愛らしい姿は自然の中で観察したり、動物園で生態を学んだりすることに留めるのが賢明です。

どこで見られる? イイズナを展示している動物園

イイズナはその小さな体と臆病な性格から、動物園での飼育も難しく、現在、動物園では見ることはできません。

2023年1月までは、おびひろ動物園で雪月という個体が飼育されていましたが2023年1月31日に死亡。イイズナを展示する動物園は全国でも同園のみでした。

クラッチ編集部

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