処方薬を他人に譲渡するのは違法って知ってた?

友人や家族が不快な症状で悩まされている時に、自分に処方された薬を譲りたいと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、たとえ家族間であっても処方薬を譲ってはいけません。
処方薬を他人に譲渡することは法律で禁止されており、重い処罰が科される可能性があります。日本では「医薬品医療機器等法」(旧薬事法)により、医師が個人に対して処方する薬は、その人の病状や体質に基づいて処方されています。したがって、他の人がその薬を服用すると、予期しない副作用や健康被害が生じる危険があるため、薬を他人に譲渡することは違法です。
具体的には、処方薬を他人に譲渡すると以下のような影響や罰則が考えられます。
処方薬の譲渡は法律違反
処方薬を他人に譲渡した場合、「医薬品医療機器等法」に違反する行為とされます。違反者には懲役や罰金などの刑罰が科される可能性があります。特に、向精神薬や麻薬などの規制薬物に該当する場合、より厳しい罰則が適用されることがあります。
そもそも処方薬ってなに?
処方薬は医療用医薬品とも言われ、病院や診療所などで、医師が診断した上で発行する処方箋(しょほうせん)に基づいて、内容が適正であるか確認した後、調剤します。医師は原則同じ病気の継続的な治療であっても処方の都度、診察した上で処方しなければなりません。
処方薬は、医師が患者個別の健康状態や体質に応じて処方します。他人に処方薬を与えると、服用した人に重篤な副作用が出たり、症状が悪化したりする恐れがあります。たとえば、アレルギー反応や過剰摂取による中毒などが考えられます。
処方薬の不正な譲渡や使用が明るみに出た場合、医師や薬局も調査の対象になることがあり、医療現場全体に影響を与える可能性もあります。また、処方を受けた本人も医師の信頼を失うことになります。
実際の違反事例
2024年6月には東京・歌舞伎町「トー横」に出入りする少女らに無許可で医薬品を譲渡したとして、警視庁少年育成課は、無職の山下裕史容疑者(39)を医薬品医療機器法違反(無許可授与・貯蔵)で逮捕しました。
山下容疑者は複数の病院で過剰に症状を訴え、せき止め薬や緊急避妊薬などを大量に入手。自宅から約6,000錠が押収され、トー横で「何の薬でもある」として若者に薬を譲渡していたとされています。警察は、少女らを手なずける目的で薬を譲渡していた疑いも調査しています。
譲渡だけではなく、販売も違法
薬の譲渡や販売は、法律で厳しく規制されています。医薬品医療機器等法(薬機法)に基づき、医薬品の販売や譲渡は、厚生労働省の許可を受けた薬局や販売業者のみが行うことができます。
この規制は、薬の誤使用や不適切な管理による健康被害を防ぐために設けられています。たとえば、処方薬を他人に譲ったり、インターネットで売買することは、重大な法違反です。また、SNSやフリーマーケットアプリを通じた薬の販売も問題視されており、摘発の対象となります。
これらの行為は、個人の健康だけでなく、公衆衛生にも悪影響を及ぼします。薬を正しく使用するためには、医師や薬剤師など専門家の指導を受けることが必要です。薬の譲渡や販売が違法である理由を理解し、適切なルールに従うことが、健康と安全を守る第一歩です。
参考:東京都保険医局 – フリマ・オークションサイト(アプリ)で許可なく医薬品等を販売することはできません
処方薬の譲渡に関するまとめ
処方薬を家族や知人に渡すことは、薬機法や医師法などに違反するため禁止されています。また、不適切な使用により症状が悪化する可能性もあるため、薬の譲渡は絶対に控えましょう。
正当な理由なく、処方薬を販売すると薬事法違反となります。
違反した 場合には3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、または両方が科せられる (薬事法第84条)。